パンデミック後4回目の値上げが示すグッチの戦略
2023年9月24日、グッチ(GUCCI)が全世界で全商品の価格改定を実施した。これはCOVID-19パンデミック発生以降、同社が行う4回目の値上げとなる。特に今回の値上げ幅は一部商品で10%を超えるなど、過去最大規模となっており、業界関係者の間で大きな話題を呼んでいる。
専門家によれば、グッチをはじめとするラグジュアリーブランドが頻繁に値上げを行う背景には、主に3つの要因があるという。第一に、原材料費や人件費の上昇といったコスト増への対応。第二に、ブランド価値の維持・向上を図る「プレステージ戦略」。そして第三に、富裕層ターゲットへのアピール強化だ。
ラグジュアリー業界全体に広がる値上げトレンド
注目すべきは、グッチだけがこのような価格改定を行っているわけではない点だ。2023年に入ってから、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)、シャネル(Chanel)、エルメス(Hermès)など主要ラグジュアリーブランドが相次いで値上げを実施している。
例えばシャネルは、人気のクラシックフラップバッグを2023年内に2度値上げし、累計で20%以上の価格上昇となった。エルメスもケリーやビルキンといった看板商品の価格を定期的に調整している。
このような値上げが可能な背景には、ラグジュアリー市場の堅調な需要がある。2023年上半期のLVMHやケリング・グループの決算を見ると、売上高が過去最高を記録するなど、高級ブランド業界はパンデミック後の回復以上に成長を続けている。
値上げがブランド価値を高める逆説的効果
一般的な消費財では値上げが需要減につながる可能性が高いが、ラグジュアリー商品の場合、適度な値上げがかえってブランドの希少性とステータスを高める効果がある。これは「ヴェブレン効果」と呼ばれる経済現象で、価格が高いほど商品の魅力が増すという逆説的な心理が働くためだ。
マーケティング専門家の山田裕子氏は「高級ブランドにとって値上げは単なるコスト転嫁ではなく、戦略的なブランディングの一環。特に中国や東南アジアの新興富裕層を意識した価格設定が顕著になっている」と指摘する。
実際、グッチの親会社であるケリング・グループの最新決算では、アジア太平洋地域が同社の最大市場となっており、この地域の消費動向が価格戦略に大きく影響していることがうかがえる。
今後のラグジュアリー市場展望
業界アナリストの間では、2024年も主要ブランドの値上げが続くとの見方が強い。世界的なインフレ傾向や為替変動に加え、サステナビリティ対応コストの増加などが価格に転嫁されると予想されるためだ。
一方で、過度な値上げが中産階級の購買意欲を減退させるリスクも指摘されている。バランスの取れた価格戦略が、各ブランドの経営手腕を試す時代になりそうだ。
最終的に、真のラグジュアリーブランドとは、値上げをしても顧客が離れないブランド力を持つ企業と言えるだろう。グッチをはじめとする大手ブランドの今後の動向から目が離せない。
