業界を揺るがす大型買収が成立
アメリカのアウトドアアパレル大手VFコーポレーション(以下、VF社)は11月9日(月)、ニューヨーク発のストリートウェアブランド「Supreme(シュプリーム)」を21億ドル(約2200億円)で買収すると正式に発表しました。この買収により、The North Face(ザ・ノース・フェイス)やVans(バンズ)などで知られるVF社のブランドポートフォリオに、ストリートカルチャーを代表する人気ブランドが加わることになります。
取引によれば、Supremeの既存株主であるプライベートエクイティファームのカーライル・グループとグッド・パートナーズは保有株をすべて売却。創業者であるジェームズ・ジェビア氏をはじめとする現経営陣は引き続き同ブランドの運営に関与する見込みです。
なぜ今?VF社の戦略的意図を読み解く
VF社のスティーブ・レンデルCEOは今回の買収について「Supremeのユニークなブランド力と忠実な顧客基盤は、当社の成長戦略に完全に合致する」とコメント。特に以下の3つのポイントが買収の背景にあると分析されています:
- 若年層市場への本格参入:VF社が強みとするアウトドア市場とは異なるデモグラフィックの開拓
- DTC(直接消費者向け)販売の強化:Supremeが持つ強力なオンライン販売ノウハウの活用
- ブランドシナジーの創出:VansやTimberlandとのコラボレーション実績を更に発展
業界関係者によれば、Supremeの2021年度の売上高は推計5億ドル前後で、買収金額の約4.2倍の企業価値(EV/EBITDA)に相当するとみられています。
ストリートウェア市場の今後を予測
今回の買収は、ストリートウェア市場におけるさらなる大型化・グローバル化の流れを加速させる可能性が高いです。近年では、
- 2019年:モンクレールがストーンアイランドの親会社SPWの30%を取得
- 2020年:LVMHがオフホワイト創業者ヴァ―ジル・アブローをルイヴィトンのメンズアーティスティックディレクターに起用
といった動きが見られ、高級ブランドとストリートウェアの境界が曖昧になる傾向が続いています。VF社の買収後もSupremeが持つ「限定性」や「独自性」を維持できるかが、今後の市場成長の鍵を握ると専門家は指摘しています。
消費者・業界への影響は?
買収発表後、SNS上では「Supremeのブランド価値が低下するのでは」といった懸念の声も見られますが、VF社は「ブランドの独自性を尊重し、独立した運営を維持する」と明言。具体的には:
- 本社をニューヨークに維持
- 現経営陣が引き続き意思決定に関与
- 限定販売などのビジネスモデルを変更しない
といった方針が示されています。アパレルアナリストの田中裕子氏は「VF社のグローバルサプライチェーンを活用することで、品質管理と生産効率が向上する可能性がある」と肯定的な見解を示しています。
