高級ブランドを揺るがす商標権侵害問題
フランスを代表する高級ジュエリーブランド「カルティエ」が、中国広州市の現地企業を相手取り商標権侵害訴訟を起こしたことが判明しました。今回の訴訟の特徴は、本物のカルティエ製品と偽造品の双方が法的責任を問われる「二重訴訟」として審理が行われる点にあります。
カルティエは1847年にパリで創業した由緒あるブランドで、「カルティエ」のロゴが刻まれたジュエリーや時計は世界中の富裕層から愛されています。特に「ラブブレスレット」や「パンサー」コレクションは、ブランドを象徴するデザインとして知られています。
広州企業による「模倣品」流通が発端
問題の発端は、広州市に本社を置くあるジュエリー企業が、カルティエの登録商標と酷似したロゴを使用した商品を製造・販売していたことにあります。同社はインターネット通販プラットフォームを通じて、本物と見分けがつきにくい「模倣品」を流通させていたとされています。
カルティエ側の主張によれば、この広州企業は「意図的にブランド価値を侵害する行為」を行っており、不正競争防止法と商標法の両方に違反しているとのことです。これに対し、被告企業は「デザインの類似は偶然」と反論していますが、専門家の間では「明らかな意図的模倣」との見方が強まっています。
民事訴訟と行政訴訟が並行して進行
今回の訴訟の特徴は、通常の民事訴訟に加えて行政訴訟も同時に進行している点です。中国の商標法では、商標権侵害が認められた場合、民事上の損害賠償に加えて行政罰(罰金や営業停止など)が科される可能性があります。
法律専門家によると、「二重訴訟」が行われるのは、商標権侵害事件の中でも特に悪質と判断されたケースに限られるとのこと。カルティエ側は自社ブランドの保護強化を図るため、法的措置を徹底する方針を示しています。
高級ブランドの知財保護戦略の転換点に
近年、中国市場では高級ブランドの模倣品問題が深刻化しています。カルティエを所有するリシュモングループは、2020年からアジア地域における知的財産保護チームを拡充しており、今回の訴訟はその一環と見られています。
ラグジュアリーブランド業界では、今回の訴訟の行方が注目されています。判決の内容次第では、他の高級ブランドも中国市場でより積極的な法的措置を取る可能性があるためです。特に、オンライン市場での模倣品対策は、各社にとって重要な経営課題となっています。
次回公判は2023年11月を予定しており、判決が出るまでにはさらに数ヶ月を要すると見られています。カルティエと広州企業の攻防は、今後のブランド保護戦略に大きな影響を与える可能性があります。
