ロエベ、パンデミック後のV字回復を達成
LVMHグループ傘下のスペイン発高級ブランド、ロエベがこのほど発表した2021年度業績報告書によると、同ブランドはパンデミック後の顕著な業績回復を実現した。報告書はスペイン企業登記所に提出された正式文書であり、その信頼性の高さが特徴だ。
2021年の売上高は前年比38%増の4億5,600万ユーロ(約610億円)を記録。これは2019年コロナ前の水準と比較しても32%の増加を示しており、単なる回復を超えた成長軌道に入ったことが窺える。
営業利益が前年比15倍の急伸
特に注目すべきは利益率の改善で、営業利益は8,225万ユーロ(約110億円)と前年比約15倍という驚異的な伸びを示した。2019年と比較しても85.6%の大幅増加となっている。
純利益も6,816万ユーロ(約91億円)と、前年比約8倍、2019年比14.5%増と堅調なパフォーマンスを維持。この好調さはLVMHグループ全体の戦略転換と深く関連している。
LVMHの高級ジュエリー戦略とのシナジー
ロエベの成功要因として、親会社LVMHが推進する「高級ジュエリー事業強化戦略」との連携が挙げられる。LVMHは近年、ルイ・ヴィトンやディオールなどの主要ブランドでジュエリーラインの拡充を図っており、ロエベもこの流れに乗った商品展開を強化している。
特に、スペインの伝統工芸と現代デザインを融合させたジュエリーコレクションが欧米市場で好評を博し、平均単価の引き上げに成功。これが利益率改善の主要因となったと分析されている。
中国・山東如意グループの苦戦と対照的
一方、中国の繊維大手・山東如意グループは、米国で展開していた「ライクラ」ブランドの事業権を失うなど、ラグジュアリー市場での後退を余儀なくされている。これは同グループの資金繰り悪化に起因するとみられ、グローバルなラグジュアリーマーケットにおける欧州勢と中国勢の明暗を分ける結果となった。
専門家は「パンデミック後のラグジュアリー市場では、LVMHのような確立された多ブランド戦略を持つグループが圧倒的に有利」と指摘。ブランドバリューの維持・向上に長年投資してきた欧州勢と、M&Aで急成長を図った新興勢力との差が鮮明になっていると分析する。
今後の市場動向予測
2023年のラグジュアリーマーケットでは、インフレや景気後退懸念が強まる中、より明確な二極化が進むと予想されている。ロエベをはじめとするLVMHグループ各社は、高付加価値商品へのシフトをさらに加速させており、特にアジア市場における富裕層向け戦略が注目される。
対照的に、中国企業の海外M&A戦略は見直しを迫られるケースが増加。山東如意グループの事例は、単なるブランド買収だけでは持続的な成長が難しいことを示唆している。今後の市場競争では、ブランドヘリテージの深さとクリエイティブな商品開発力がさらに重要度を増すとみられる。
