国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が公開した「パラダイス文書」は、アップルやナイキをはじめとする世界的企業による巧妙な租税回避スキームを暴露し、国際社会に大きな衝撃を与えています。
AFP通信が報じたところによると、パラダイス文書には2014年以前のアップル社の税務戦略に関する驚くべき事実が記録されています。同社はアイルランドの税制を巧妙に利用し、米国外で得た営業収益をアイルランドに計上することで、大幅な税負担の軽減を図っていたことが明らかになりました。
アイルランドは法人税率が低いことで知られる「タックス・ヘイブン」の一つです。アップルはこの税制上の優遇措置を活用し、国際的な収益配分を最適化することで、合法的ながらも倫理的に疑問の残る税務戦略を展開していたのです。
スポーツ用品大手のナイキもまた、パラダイス文書でその名前が挙がった企業の一つです。同社はバミューダ諸島に子会社を設立し、ブランドの知的財産権を管理させることで、税負担を軽減する構造を作り上げていました。
これらの事実が明らかになるにつれ、影響を受けた企業は相次いで声明を発表。アップルは「すべての税務関連法規を遵守している」と主張し、ナイキも「国際的な税務慣行に従っている」と反論しています。しかし、こうした企業の行動は「租税回避」ではなく「租税最適化」であるとする見方に対して、多くの専門家から疑問の声が上がっています。
パラダイス文書の公開を受けて、EUや米国をはじめとする各国政府は、多国籍企業の租税回避対策の強化を検討し始めています。特に、デジタル経済における課税のあり方について、国際的なルール作りが急務となっています。
経済協力開発機構(OECD)は「税源浸食と利益移転(BEPS)」プロジェクトを通じて、国際的な税務ルールの見直しを進めています。2021年には、130カ国以上の合意により、法人税の最低税率を15%とする歴史的な合意が成立しましたが、パラダイス文書が明らかにした事実は、こうした国際的な取り組みの重要性を改めて浮き彫りにしました。
税務専門家の間では、企業の社会的責任(CSR)の観点から、倫理的な税務戦略の重要性がますます高まっているとの指摘もあります。単に合法であるだけでなく、企業が社会に対して公平な税負担を果たすことが、持続可能なビジネス環境を作る上で不可欠だという認識が広がりつつあります。
ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が主流となる中、企業の税務戦略は重要な投資判断基準の一つとなっています。多くの機関投資家が、租税回避に積極的な企業から投資を引き上げる動きを見せており、企業価値にも影響を与え始めています。
一方、消費者の間でも倫理的な消費意識が高まっており、公正な税務慣行を採用している企業を支持する動きが拡大しています。SNSを中心に、租税回避企業の製品をボイコットするキャンペーンが展開されるなど、企業の社会的評判にも大きな影響を与えています。
【環球時報米国特派員曽田、環球時報米国特派員陳欣】
リリース時間: 2025-12-07 05:52:34